赤ちゃんが生まれると、親と子どもの絆づくりはすぐに始まります。時には、互いに成長するために、時間を要することもありますが、確かなことは赤ちゃんにとって、お母さんやお父さんとの絆はとても大切であるということです。
アメリカの心理学者ハリー・ハーロ-博士は、生まれたばかりの猿の赤ちゃんにとって、ふれあいによる温もりと安心感は、餌よりも大切であるということを実験により示しました。猿の赤ちゃんに、ミルクをもった針金製の母ザルと、何も持っていないやわらかい布でできた母猿を与えたところ、赤ちゃん猿は温かさと安らぎの得られるやわらかい布の母猿を選びました。また、若い子どもの猿も、針金製の母猿を選んだときは、食物が与えられたときだけで、食べ終わると再び布の人形へと戻ってしまいました。
さらに、その他の研究でも、赤ちゃん猿が生まれると同時にマネキンでできた母親を与えられると、マネキンを抱いたり、触ったりする努力をしても、親として何の反応も無いことで、悲しみ、発育を妨げられ、成長障害を起こすとの事が明らかとなっています。専門家は人間の赤ちゃんにおいても、絆の欠如は猿と同じような問題を引き起こすと言及しています。
人間の赤ちゃんは、生まれると同時に絆を持とうとします。これは私たち人間にとってとても幸せなことです。一方、親のほうは、それに対してどう対応してよいか複雑な心境になることもあります。多くの親は赤ちゃんが誕生すると、最初の数分間、あるいは数日の間に強い絆を感じます。
様々な理由により、赤ちゃんが集中治療室で育てられるような状 況のときは、この親子の大切な絆ができるまでに、しばらく間が必要となるでしょう。
絆というのはひとつの過程であり、赤ちゃ
んが生まれてすぐに、ある限られた時間内にできあがるものではありません。多くの家族にとって、絆は毎日の子育てで育まれるものなのです。絆には養育と時間が必要です。赤ちゃんとの関係を深める方法を考え、実行するということに遅すぎることはありません。親は赤ちゃんとの絆がつくられていることに、気が付かないこともありますが、それは不思議なことではありません。赤ちゃんが笑い、目を合わせ、そこで初めて親は赤ちゃんへの愛情を感じるのです。
赤ちゃんにベビーマッサージをすることで、親は赤ちゃんとの絆を育み、深めることができるでしょう。この絆は、タッチはもちろんのこと、赤ちゃんの身体の温かさやアイコンタクト、身体の匂いや声を感じること、そして、赤ちゃんの身体の動きや言葉をまねすることによって得られるのです。
ベビーマッサージは、親に赤ちゃんからの様々なサインを知らせ、適切に対応することを助ける愛情深いコミュニケーションと言えます。赤ちゃんの欲求を満たすということは、一生涯続く愛と信頼の構築に役立つのです。